現在2022年秋に早期乳がんの診断を受けてから、手術を経て、2024年秋に放射線治療を終え、2025年春までの回復期間に書いたブログをまとめており、Kindle版として出版しようと準備中です。
病気になった時、その病気の背景にまで思いを巡らす方はまだ少ないのが現状だと思いますが、そのプロセスを経ずに治療後すぐに元の生活に戻っただけでは、いつかまた同じような事態に陥ることをMetamorphic Technique®での学びと、自分自身の経験から学びました。
ちょうど最近、船戸崇史著「がんが消えていく生き方」(ユサブル)を読み、船戸先生ご自身が腎臓がんを乗り越えた経験を基に書かれている内容に深く共感しました。
本日は、タイトルの通り「がんが消えていく生き方」とは何か、本に書かれている内容と自分が共感した点をまとめてみます。
船戸先生はもともと外科医で、がんを治す側のお立場でした。
ご自分ががんになるとは夢にも思わなかったそうですが、40代で受けた人間ドックで腎臓がんが見つかりました。
これまでたくさんのがん患者に励ましながらメスをふるってこられた先生でも、いざご自分ががんを告知されたとき、「死」を意識して泣かれたそうです。
そして手術を受けた後、二度と体験したくない痛みを経験し、また摘出後の(犠牲となった)正常な部分の腎臓を見て、二度と同じがんを作らないよう、「生き方を変えよう」と決意されたそうです。
がんの告知から10年以上経っても再発の可能性がないわけではなく、実際ご自身も「がんはいる」と思っておられます。
その一方で、「がんの言い分をしっかり聴き、生き方を転換して免疫を活性化させた生活を送っていれば、仮にがん細胞が残っていたとしても、それ以上大きくならずに普通に生活していける。そういう生き方が一番大事なのではないか。」と書かれています。
そして患者さんには「原因のないところに結果はありません。がんはあなたの生き方ゆえの結果ですから。どこかに絶対免疫を貶めた原因があるはずですね。」とお話しされるそうです。
<がんの言い分を聴く>
船戸先生はご自身のクリニックで免疫を高めるための補完代替医療を行われていますが、「がん治療において最も重要なことは、まずは生き方(生活習慣)を正す」ことだとおっしゃっています。
がんができる前の生き方は、がんになる生き方なので、生き方を見直して自然治癒力が向上すれば、からだは治るようにできているそうです。
あくまでも補完代替医療は生き方を正した上で利用するものだというお立場です。
船戸先生ご自身にとって術後最も有益だったのは、補完代替療法そのものより、大自然の中でゆったり過ごされた1か月間の療養生活だったと書かれています。
<がんの原因は何か>
一般的に「がんの原因は遺伝子エラーの積み重ね」と定義されています。
通常傷ついた遺伝子は修復されなかった場合自滅しますが、死なずに不死化した細胞ががん細胞になり分裂を繰り返します。
そして2000万個の細胞になったとき画像診断可能な直径5mmのサイズになり、約10億個になったとき直径1cmとなります。
遺伝子は日常的にエラーを起こしていますが、ストレスや生活習慣、環境要因などが引き金となって、遺伝子エラーを加速させ、がん化するスピードが上がると書かれており、船戸先生ががんになる前の生活習慣を振り返ると、決定的に睡眠不足だったそうです。
健康な人のからだでも毎日5000個ほど(30秒に1個程度)のがん細胞が自然発生していますが、健康であれば、自然治癒力によりがん細胞を免疫細胞(リンパ球)が退治してくれるため、本来からだは治るはずなのです。
ただし、よくない生活習慣を続けるとホルモンバランスと自律神経が乱れ、リンパ球が正常に働かなくなってがん細胞が生き残り、次第に増えていってしまうのです。
そこで、船戸先生は「病気とは、本来の生き方から外れているよ、という呼びかけに過ぎない。数ある病気の中でもがんはとりわけ『今のままでは残り時間がないよ~』という警告、つまり自分自身の死と直面できるとても有意義な病気なのではないか」と書かれています。
<自然治癒力を引き出すための五か条「睡眠、食事、運動、加温、笑い」>
「睡眠」は何より大事で、治るための時間です。眠っている間に、修復ホルモンにより疲労した細胞や組織が修復されます。
船戸先生は、夜10時から6時までの8時間を推奨されています。
最低6時間は大事で、6時間を切ると乳がん罹患のリスクが7時間以上眠っている人に比べて1.6倍に上がる研究データがあるそうです。
「運動」は、できれば朝30分~60分歩くことを推奨されています。
そうすることで、精神の安定に関わるホルモン「セロトニン」が分泌され、その後睡眠に関わるホルモン「メラトニン」に変わっていきます。
「食事」は糖質を減らすことを推奨されています。がんは糖質が好きで、正常細胞の4-8倍の栄養を必要としているからです。
がんが大きくなるメカニズムは、がん細胞周囲の正常細胞が栄養を奪われ餓死することだということです。
食事法の詳細は省略しますが、食事はがんにとっても栄養になるという点、また、活性酸素発生の観点からも、食べ過ぎは要注意だと書かれていた点が印象的でした。
からだによい食べ物を摂ることに加えて、適度に内臓を休ませて免疫力を上げることが大事なようです。
「加温」は体温が1℃上がるとリンパ球の活性が40%上がると書かれていました。
「笑い」とは、一時的な楽しい感情だけでなく、自分らしい生き方をしている時の喜びの表情だと書かれています。
また、感情は喜びだけでなく怒りや悲しみも外に出すことが大事ですが、がんになる人は、3G(我慢して、頑張る、頑固者)の特徴を持つまじめな人が多く、感情も押し込めがちだということです。
やりたいことや楽しいことを後回しにして、自分の生活を犠牲にして、無理をしてしまうことががんを助長する元凶だという説は、私自身の性格を考えても本当にその通りだと思いました。
船戸先生はがんから次のように問われていると気づいたそうです。
「あなた、そんなことばっかりやっていていいの?このままではもう命の時間はない。今生はもうすぐ終わってしまうよ。時間ないけど、その生き方でいいの?」
<がんが再発する人の特徴>
がんが再発する人には2つのパターンがあり、1つは、初発のがんになる前の生き方が全く変わっていない人、もう1つは必要以上にがんを恐れる人とのことです。
死への恐怖が遺伝子の働きに影響を与えてしまうようです。
船戸先生は、人は誰でも死ぬ存在だから、生きるか死ぬかではなく、「どう生きるか」という選択が重要だとおっしゃっています。
だからこそ「がんが治ったらやりたいこと」「自分らしい人生を創造すること」を考えることが大事で、わくわくしていれば生きるエネルギーに変わり、がん再発を抑えてくれるのだと書かれています。
「今生、あなたが生まれてきた意味。寿命が尽きるまでにやりたいことは何なのか?がんになるために生まれてきたんじゃない。がんを治すために生きているんじゃない。『楽しい人生、私はそのために生まれてきた』これはいかがでしょうか?」
本当の自分のしたいことに気が付き、生き生きし始めた患者さんには、神様から時間が与えられて、がんが自然に消えていく事実を見てきた、と書かれています。
<Reborn(生まれ変わる)>
船戸先生は、先に挙げた5か条に加えて、自分自身が生まれ変わることについて強調されています。
自分以外の人になるのではなく、本来のありのままの自分に戻る、つまり、自分の心に素直で正直に生きる、ということです。
そもそも上記5か条の生活が疎かになった原因として、「がんになる心の習慣化(癖)」があるとおっしゃっています。
例えば、他人の行動をストレスに感じていても、ストレスの原因が自分の感じ方にあるのかもしれないことに気づく。
自分が変わればストレスがなくなる可能性があり、結局自分自身の問題だと書かれています。
船戸先生の次の言葉が印象的でした。
「がんは悪者じゃない。がんは憎むべき相手ではなく、あなたの生き方を表しているだけ。むしろ、あなたの細胞の一部なのだからがんもあなた自身なのだと。」
「もっと、自分の身体を信じてください。そして、自分を信じられる生き方をしてください。それを自信と言いますから。自信をつける生き方は弛まぬ毎日の生活にあるということです。」
<感想>
心の癖、生活習慣は無意識によるものだと書かれている通り、私もこの本を読んで自分自身の睡眠不足を実感し、まずは生活習慣を見直したいと思いました。
が、そう思っても簡単に変えることは難しく、毎日早く寝ようと思っても夜になるとパソコンを見てしまい、いつも同じ時間まで結局起きていることに気づきました。
その日どうしてもやらなければいけないことではないのに、なぜか気になってパソコンを開くと時間を費やしてしまうのです。
疲れる(=酸素供給が減る)と、神経細胞が死滅しないように自ら刺激を求めにいってしまう(=ストレスを増やすような行動をする=夜になるとパソコンを見たくなる)性質は以前整体の先生からも聞いていましたが、なかなか変えることができないでいました。
そのパターンに気づいても変えられない自分を実感していたところ、疲れた日にパソコンをいじっていて、悪質なメールに引っ掛かりそうになりました。
疲れて注意力が低下していたことに初めて気付いたのです。
そして、遅くまでパソコンに向かっていることは害なのだと心から実感し、翌日から早く寝るようになりました。
まずは、気づく・意識化することが重要ですが、生活習慣には心の癖(私の場合は何かを頑張ってその日のうちに終わらせたいという精神)が紐づいていて、気づいてもすぐに習慣を改めることが難しいことを実感しました。
けれども、結局やらなければならないと思っていることと、自分の健康のどちらを優先するか、という問題は、自分の人生のあらゆる局面で関わってくることで、船戸先生のおっしゃる「自信をつける生き方は弛まぬ毎日の生活にある」ということなのだと思いました。
私自身、がんになったことはショックでしたが、治療を受けるまでに自分自身について多くのことを考えました。
自分が変わるためにがんという病気を引き寄せたのだと感じていて、今は、がんになる前よりずっと幸福感に包まれています。
そして、これまで以上に自分の心に素直で正直になり、セラピーを受けることを楽しむことと同時に、「楽しい人生を生きるために、生まれ変わり、変容をもたらす」セラピーをご提供することが自分が生まれてきた意味であると信じ、続けていきたいと思っています。