バーストラウマとタイタニックの経験

グロフ氏は人の変性意識にアクセスすることにより、出生時・胎児期・前世・臨死体験の記憶に関するデータを集めました。

 

その結果、出生時の記憶と感情の流れが、その後の人格形成の中核になると考え、胎児期~出生時の体験を以下の4段階に分類しました。

 

1段階目:胎児が子宮と一体化して安心感を抱いている状態。この時子宮内の不安定な環境やネガティブな外的要因により、胎児に影響が及ぶこともある。

 

2段階目:子宮の収縮が始まり、平和な状態が崩される。子宮口がまだ開いていないことから胎児は出口なしの閉塞状態に陥る。胎盤への栄養・酸素供給が制限され、不安・無力感・罪悪感・孤独感・劣等感・不足感・絶望といったネガティブな感情が生まれる。

 

3段階目:子宮口が開くことにより、胎児が産道に押し出される。無酸素状態により窒息感が生まれ、強烈なサバイバル感情を引き起こす。この状態をグロフ氏は「タイタニックの経験」と結びつけた。噴火・嵐・津波に形容できるようなエネルギーと窒息感の中、苦しみながら産道を通過する。強制的に外に出されるトラウマ的な体験。生と死の間を引き裂かれるような葛藤の経験。

 

4段階目:死と再生の体験。誕生により苦痛から解放され恍惚感を感じるが、同時に今までの経験が終わることによる「自我の死」も経験する。ネガティブな感情がポジティブな恍惚感に代われば自己への肯定的感情を保つことができるが、うまくいかないと誕生前のネガティブな感情が引き継がれる。この状態をグロフ氏は未完の出生体験と呼んだ。未完状態では人は常に人生に不満を感じ、自分自身に不足感を感じ、不満を補完するための何らかの解決策(お金・権力・名声)が必要と感じる。危険に常に備え、状況をコントロールしないといけない強迫観念に追われ、自分を証明するための絶え間ない努力が必要になる。達成できないとますます不足感を感じるが、たとえ目標を達成しても満足することができない。

 

自分が誕生までに2日間かかったことを前回の記事に書きましたが、2日間もこのような意識を感じていたら、その体験はバーストラウマになるに違いないと直感的に感じました。

 

グロフ氏は、人間が持つ暴力的な傾向はこの未完の出生体験に起因するという考えをお持ちで、戦争を風刺するイラストと、誕生前のトラウマ的状態で想起される毒蜘蛛やタコなどのイメージがしばしば類似しているとの説を上記の講演で述べていました。

 

暴力でなくても、人生に安心感を感じられないことや、自分に満足できず常に何かを追い求める、という傾向は私も常に自覚しているものなので、グロフ氏の説は納得がいきました。

 

そして、妊娠期・出産時の経験がいかに大事であるかということから、私が読んだMetamorphic Techniqueの記事ではセッションの重要性を説いていました。

 

Metamorphic Techniqueでは、たとえ相手が何らかのバーストラウマを持っていたとしてもそれを分析することはしません。

 

ネガティブな経験やパターンすらも、本来人が持っている人生の目的に気づき、変容するためのベースになるものだと考えます。

 

そのためプラクティショナーはそのパターンを変えたりなくしたりする意図は持たず、セッションを受ける方の叡智が花開くための触媒として存在し、セッションが行われます。

 

セッションそのものは決して複雑なものではなく、誰にでもできるものです。お母さんがお子さんへも感単に行うことができます。

 

今回の記事と動画を見て、ますます未来ある子どもたちへのセッションの重要性を感じました。