人生の優先順位を決める

まずは月曜日、美容関係の企業の面接を受けました。

 

この会社は国内でも有数の化粧品ブランドを扱っており、セラピストを募集していました。

 

私が好きなブランドであり、ここのサロンで働けるなら、個人サロンを閉鎖することになることになっても後悔しないかもしれない、と思いました。

 

面接で私ははりきり、数か月先で入社可能な時期を伝えました。

 

しかし、同じ週に乳がんの治療法についてセカンドオピニオンを聞く予定になっていたのです。

 

同じ週になぜこんな大きなイベントが重なってしまったのか、自分でも驚くばかりでした。

 

そして水曜日、セカンドオピニオンを聞きに初めてC病院を訪れました。

 

私の病状が、ある新しい治療法の適用になるか確認しに行ったのです。

 

セカンドオピニオンは自費診療で、一定時間毎に料金が加算されます。

 

私はいくつか事前に質問を考えていき、その中でも重要な質問はその治療を受けることができる場合、いつになるか、ということでした。

 

なぜなら、時期によっては転職が難しくなってしまうからです。

 

歯切れのよい朗らかな先生は、6月以降だよ、と答えられました。

 

その時点で私は転職したかったらC病院は無理だと思い、それ以上細かい質問をする気が失せてしまいました。

 

私が転職を考えていることを伝えたところ、「まずは治療に専念して、それから転職しましょうよ」と、至極当然のことをお答えになりました。

 

私は特に聞きたいことも思い浮かばなくなったので、それから間もなく相談時間は終了したのですが、先生のその言葉が耳に残っていました。

 

それでもこの時点で面接結果を待っていた私は、もし受かったらこれまで通ってきたB病院で、当初の治療法に決めようと思っていました。

 

B病院であればそれほど待たずに手術を受けられるからです。

 

 

 

 

そして、会計を終えてC病院を出る時、もうここには来ないかもしれない、と思いました。

 

その後は面接結果がずっと気になって、仕事に身が入りませんでした。

 

やっと集中できるようになった終業間際、採用通知を受け取りました。

 

なかなか連絡がなかったため、私は何となく気が抜けてしまって6月までゆっくり待ってC病院で治療を受けようと思い始めていました。

 

そのため採用が決まった時、あれ?どうするんだっけ、という気持ちになり、また、その日はあまりにも大きな出来事が重なった疲れでそれ以上考えることができませんでした。

 

翌朝、頭がクリアな状態で目が覚めました。

 

この時私は、採用が決まったからと言って、自分が本当に受けたい治療法を諦めたくない、と強く思いました。

 

これまでは転職のために元のB病院で治療を受けることを最優先に考えてきましたが、転職のことを脇に置いたとき、何となくC病院で新しい治療を受ける方が自分にとってほっとするような気がしたのです。

 

こんな感じで私はC病院で治療を受けることを直感的に決め、すぐに次回予約の手筈を整えました。

 

そこで分かったことは、C病院があまりにも混雑していて、現職を続ける上でも通院するのにかなり支障がありそうだということでした。

 

これまで通っていたB病院は土曜診療があり、平日に通院する必要があっても業務に支障のある時間帯を避けて通院することができていたのです。

 

これまでの私だったら、職場に迷惑を掛けたくないし、自分が病気であることも極力知らせたくありませんでした。

 

その上、治療開始時期が想定より遅くなることにより次の派遣期間にもかぶってしまう見込みで、最悪契約満了になってしまう可能性も出てきました。

 

B病院で治療を受ければ、最短で手術を終え、転職することができたはずでした。

 

そのような、仕事をしながら治療を受ける上でネガティブな要素ばかりのC病院ですが、不思議と私はどうしよう、と考えることがなくなりました。

 

自分にとって自分のからだが一番で、急かされるように転職を決めたくなかったし、これが原因で内定取り消しになったとしても仕方がないと思いました。

 

そして私は内定先を手放すことになり、事情を伝えたところ、案の定内定は取り消しになりました。

 

いただいたメールにはまたご縁があるかもしれないような含みもありましたが、私自身治療が終わった時今と同じ気持ちであるかわからないし、先方も健康上の問題により内定を出せないという判断をされるかもしれません。

 

さて、ここで思い出すのは、イギリスでお世話になったリフレクソロジーの先生です。

 

この先生は、数年前に乳がんの治療を受けられており、2年前乳がんと診断されてショックを受けた時メールを送ったら、励ましの返信をくださいました。

 

 

 

 

It's a lesson to unravel the cause and prioritise your needs.(乳がんのレッスンは原因を解明し、自分のニーズの優先順位をつけることですよ)

 

メールをいただいて、原因を解明するとは、精神的・感情的になぜ乳がんになったのか考えてみることだと理解し、自分なりに答えも出ていたのですが、優先順位については今回治療法を選択するまであまりピンときていませんでした。

 

がん治療は、どんな方法でもそれなりの負担がかかるもので、絶対的によい答えがあるわけではありません。

 

乳がんの標準治療は全国的に決まっていて、それ以外の方法は少数であり、受診した医師が勧める治療法はそれほど病院によって変わるものではないですが、医師と自分の相性、病院による細かな方針や規模の違いなどを考えるとどこで何を受けるか答えを出すことは難しくなります。

 

それに加えて自分が置かれた状況を考えると、何を優先すべきかわからなくなります。

 

けれども、自分がどう感じるか、を最優先に考えた時、実はそれほど難しくないのかもしれない、と今回の経験で思いました。

 

自分にとって何が一番重要かを明らかにして、それ以外のことはきっとうまくいくのだ、と信じることで人生の道筋が決まっていくように思いました。 

 

今回決断する中で、私はMetamorphic Techniqueの勉強会で聞いた「今ここを意識し、自分にとって何が一番しっくりくるか」ということを大切にしました。

 

 

 

 

イギリスの先生がおっしゃっていた「自分のニーズの優先順位をつけること」を考えてみると、私はこれまでの人生で自分の希望を一番に考えず周りのことを優先してきたのではないか、と思いました。

  

セッションによって探していた答えが見つかるものではないですが、大きな決断を迫られたとき、自分に静かにつながることのできるMetamorphic Techniqueのセッションはお役に立てるのではないかと改めて思いました。